マイスターの仕事 指揮者 飯守 泰次郎 session 3 音を紡ぐプロ-指揮者
さて、ずいぶんと間が空いてしまいましたので、飯守氏の指揮者としての印象を書いて終わりにします。
指揮者は、一般的に右手でテンポ、左手で音の強弱や細かな指示を出します。
もちろん、いろんなタイプの指揮者がいます。
飯守氏は、右手でテンポを取るタイプの方でしたが、その振り方が本当に規則正しいのです。
テンポはもちろんのこと、上から下へ振り下ろされる幅までほぼ同じ!
まるで刀のようにシュッシュッと振り下ろされる音が聞こえてくることも。
常に直立し、特に指示したいパートには「回れ右」のようにきちっと向き直って対峙していました。
その姿は、「曲」をつくる職人たちに指示を出すマイスター(親方)のようでした。
マイスターMeisterはドイツ語で「手工業において資格試験で認定された)親方」を指し、それから転じて
(芸術方面の)巨匠を意味します。
ドイツのマイスター制度の下では、手工業法に盛り込まれた職種については、マイスター資格がなけ れば開業できず、マイスターの資格を取得するためには、見習いとして3年間働きながら職業学校に通い、
さらに「徒弟」(Geselle)として3~5年間の研修を積んだうえで試験に合格する必要があるのだそうです。
厳しいですね…。
マイスター制度は中世以来の伝統を持ち、1953年からは職能制度として法制化されましたが、労働市場改革を進めるドイツ連邦政府が、労働市場改革の一環として、マイスター制度の見直しに乗り出し、2003年に手工業法(Gesetz zur Ordnung des Handwerks)の改正を閣議決定し、
現行のマイスター資格取得を義務付けた94業種のうち、65業種について資格取得義務の対象からはずすことになったそうです。
その理由は、ドイツも例外なく国際競争にさらされ 、その結果失業率が2桁代になり、早急に雇用機会を拡大する必要が合ったこと。
しかしマイスター資格取得義務を外された業種は小規模市場のものが多く、大きな影響は出ない、というのが2003年当時の
予想だったようです。現状がどうなっているのか、私が調べた時点では把握できませんでした。
私も含めて、便利で快適な快適な生活を求める消費者の欲望が、果てることのない競争社会を生み出しました。
でも、では理想の生活を手に入れて、その先何をしたいのか。
物は周りに溢れているけど、心は空ろ…という問題は産業革命以降、どんどん大きくなっているように感じます。
でも、それは必要悪だ、とも、人間が傲慢だから、と性急に結論を出すことは避けたい。
この状況は、心身ともに充足した理想の状況に達するための過程だと考えています。
人間は、それを実現できる能力を持っていると信じて、自分も行動したい。
日本はすでに物質の豊かさは(うわべですが)手に入れているので、月並みな言い方ですが、各人が心を豊かにする「努力」をする段階にあると思います。
私は音楽に惹かれ、それを探求することで、自分を磨こうと、こうしてつたない文章を書いています。
さて、話を戻して、指揮者飯守氏から受けた印象を書いて終わりにします。
先に書いたように、その姿は、「曲」をつくる職人たちに指示を出すマイスター(親方)のようでした。
信頼している職人たちに、それでも檄を飛ばす熱いマイスターでした。
それは「堅実だが、お堅い」と揶揄される京都市交響楽団のオーケストラの個性に、ぴったりあっているように見えました。
あまりの激しさに、指揮棒がオーケストラの方へ吹っ飛んでいってしまいました。
飯森氏は、それにも動じず指揮を続けます。
チェロ奏者の方が間奏中に指揮棒を拾い上げ、指揮棒をちゃんと先端を自分の方に向けてさっと飯守氏に差し出し、飯守氏も絶妙のタイミングで受け取って再び指揮棒を降り始めた光景には、「息の合った」というのはこういうことなのか、と感動しました。
これから先は、私のちょっと気になった事を2つほど。
指揮者飯守泰次郎氏は、1940年に旧満州・新京にお生まれになりました。つまり、現在68歳!
指揮者は心身両面で、非常にハードな職業です。でも年齢を重ねて、ますます円熟味を増していくのが指揮者。
舞台上で、飯守氏は輝いていました。すらりとした長身、お洒落な燕尾服。
それで気になったのが、引き締まった腹回りです。
素人丸出し・・・。
でも、京都市交響楽団との演奏会は、本当に素晴らしかったです。
皆さんも機会があれば、ぜひコンサートホールに足を運んでください。
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投稿者: bless 日時: 2008年05月29日 01:37 | TOPページへ ▲画面上へ
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