ミステリー作家 北村 薫氏 週間ブックレビューに出演
ミステリー作家、北村 薫氏がNHK BS-23月2日放送の週間ブックレビューに出演されました。
再放送は深夜0時から同じチャンネルで見ることができます。
北村氏は、高校の国語の教師をしながら、覆面作家として『空飛ぶ馬』でデビューし、そこから落語家の円紫さんと大学生である「私」の、日常に起こる不思議な出来事を解き明かしていく『円紫さん』シリーズで人気を博しました。
「私(名前は明かされていない)」が女子大学生であり、彼女の視点から若く伸びやかでみずみずしい心理描写がなめらかに続くことから、当初作者は女子大生ではないかと噂されていましたが、『夜の蝉』で日本推理作家協会賞を受賞した際に、自らの素性を明かしました(それがショックで寝込んでしまった人もいるそうです)。
私は友人から本をプレゼントされて始めて氏の作品に触れることができたのですが、デビュー作の『空飛ぶ馬』から読み始めて、衝撃を受けました。ミステリーではあるのですが、殺人や強盗といった物騒なことが起こらないのです。
何気ない日常の中で起こる、人々の心の揺れが、まるで陽炎のように立ち上り、それがある出来事を引き起こすエネルギーを持つ。でもそれは当人たちにしか理由が分かりません。
その「謎」を解き明かしていく課程で、「私」と円紫さん、周りにいる人々との心の化学反応が起こり、「私」は人の心の複雑さを知り、成長していきます。
「謎」が解けたとき、感じるのは解決したという優越感だけではありません。他人からは「謎」にしか見えない行動を、その人はなぜ取らざるを得なかったのか。それを知ることで、人間の喜怒哀楽、多面性が見えて来、「私」はさびしさ、嬉しさといった感情を持つとともに、では自分はどうしたらいいだろう?と問いかけ、体験を心の栄養にして次へと進んでいきます。
その「私」の心の動き、周囲の人々とのやり取りが、落語のように丁々発止、簡潔で読者の心に響きやすいので、どんどん読み進めていくことができました。
そして読んだ後、穏やかな気持ちになって、周囲の方の気持ちをもっと考えて接しようと思ったものでした。
実際、『円紫さん』シリーズは、開始当初大学2年生である「私」が、進級し成長していく成長小説の要素もあわせ持つシリーズです。
「私」が最終学年に、卒業論文に選んだ芥川龍之介の短編の創作の意図を解き明かす『六の宮の姫君』は私の最も好きな作品ですが、こんな風に推理小説が書けるのか!と度肝を抜かれました。
今後は新しい作風にも挑戦していくという北村 薫氏の作品を、ぜひ読んでみてください。
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投稿者: bless 日時: 2008年03月02日 10:54 | TOPページへ ▲画面上へ
ミステリー作家 北村 薫氏 週間ブックレビューに出演を最後までお読下さいましてありがとうございます。
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