鬼 (潮漫画文庫) - 和書 - Med草子アマゾンショップ

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アイテム詳細

山岸 凉子

潮出版社

グループ:Book

ランキング:77668

価格:¥ 600

発売日:2002-12

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カスタマーレビュー

救いとは  (2008-11-25)
飢饉に見舞われた寒村での口べらしという余りにも重い題材。
捨てられた子供たちの死に至る過程の余りにも惨い描写。
この作品へ賛否両論があるのは当然だと思うし、山岸作品と訣別したという評者の意見も「受け入れる心の準備がなされないうちに読まされた読者」として当然の反応と受け止められる。
しかし、山岸涼子がセンセーショナルな題材をグロテスクへの興味本位で描きたかったのかというと、答えは当然「否」である。
大学の民俗学サークルの夏の合宿地に選ばれた東北の山寺のバックグラウンドと新入生の草薙の悲しい出生がシンクロした結果の怪異は、数百年も成仏できなかった幼子の魂が救われる契機に繋がった。同時にそれが草薙の魂の救済にもなったことで私たちは今の時代を無機質に生きることの難しさをも学ぶことになるのである。
冒頭のオウム事件の報道を思わせる描写も、心の救いを求めて現代をさまよう私たちの危うさを表し、そしてそれは無残に死んでなお魂魄をこの世に留まらせる幼子の無垢の恐ろしさと哀しさを結びつけているように見える。
「人をゆるすことで自分もゆるされる」−人間がこのことを真に理解できれば他力にすがらなくても自分自身を救済することが出来うる可能性を、この言葉を失わせるほど重い作品を通して作者は示しているのではないだろうか。

これはありなのか?  (2006-12-17)
10代〜20代まで山岸作品に親しんできたが、社会人になってからは、時折新刊をチェックして買う程度であった。
だが、これを読んだ時点で、山岸涼子と訣別した。
簡単にいうと、私個人の許容範囲を超えていた、のである。
漫画という媒体で、「これはありなのか?」。
山岸もそこらへんが気になったらしく、子供の顔や、グロテスクな場面は、極力臨場感を伴わないよう配慮したようだ。
しかし配慮したとはいっても。テーマが変わるわけでなし。
漫画の題材としては前代未問である。
ラストで救いが得られたか、というなら、とんでもない。
あのラストはとってつけたようなもので、山岸が書きたかった部分は、陰惨な事実のほう、であるのだから。
子殺しや身売りといったものは、「そういうこともあったらしい」というレベルで知られている。「私はそれをやったことがある」と名乗り出る者など古今東西いないからだ。
山岸があえて漫画にしてまでそれを知らしめたかったのは、いったいどういうモチベーションなのか。
そしてどういう影響を期待しているのか。
山岸の読者であった、というだけで心の準備もなくこれを読まされてしまった者に対し、どういう責任をとれるのか。

鬼は自分が「忌まれる存在=鬼」だと気づいているのか?  (2006-02-22)
表題作「鬼」は、天保8年の大飢饉に見舞われた奥州の貧村と、1995年オウム事件直後の二つの舞台、飢饉の口減らしのために山中の深い穴に生きながら捨てられ飢えに苦しみ遂には先に死んだ子供の屍肉を食べるまでに追いつめられた子供たち、美大に通い民俗学サークルの仲間と旅行を楽しむ主人公たちの二つの物語・・・ストーリーはこの接点の無い両者の間を行き来して最期に、著者初とも言われた救いのある大団円に到達する。
そこには、無惨な経験を「ゆるす」ことで救われるいくつもの魂を見る感動がある。巻末の著者インタビューに寄れば、そこには著者自身の魂も含まれるようである。
「ゆるす」・・・むずかしいことだが、何よりも強い大切な力なのだとも思う。そんなことを考えていた時にこの作品を読めたことは幸いだ。
同時収録「肥長比売(ひながひめ)」は出雲の豪族の娘肥長比売と大和の王本牟智和気(ほむちわけ)の政略婚の始まりと終わりを、「着道楽」はタイトルどおりの女性の一人称で語られる著者お得意の「どこにも行けない人の物語」。99年の著者インタビュー「私にとっての神とは何か」は、これほどの人が価値観の崩壊を体験し、自身の才能を錯覚ではなかったかとまで悩み、描けなくなった時期を振り返る。解説は作家の村上政彦。
「鬼」と「肥長比売」は潮出版社単行本版「鬼」に、「着道楽」は潮出版社単行本版「ツタンカーメン(1)」にそれぞれ収録されている。

怖かったです  (2003-07-29)
自分たちが生き残るために、あんな風に子供を見殺しにする親が、昔の日本には存在したんですね。士農工商が今も続いていたら、私たちも、鬼になってしまう日が来たのか・・・いろいろ考えさせられる話でした。