ブラッカムの爆撃機―チャス・マッギルの幽霊/ぼくを作ったもの - 和書 - Med草子アマゾンショップ

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アイテム詳細

宮崎 駿
Robert Westall
金原 瑞人

岩波書店

グループ:Book

ランキング:63602

価格:¥ 1,680

ポイント:16 pt

発売日:2006-10

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戦争を語り継ぐ平和への祈りを込めた英国の優れた児童文学  (2008-12-21)
自身が第2次大戦の空襲を経験し、一人息子を18歳で亡くし心身喪失の妻とも晩年に離婚した英国の児童文学者ウェスト-ル氏の3編と宮崎駿の彼へのオマージュ(短編漫画)、氏の経歴で構成されています。

著者は少年の心を通した戦争を描写することで、若い世代に戦争を2度と繰り返さないで欲しいというメッセージを投げかけると同時に、戦争の陰を背負った自らを癒しているのではないかと感じました。平和への祈りを込めた上質の児童戦争文学だと思います。

今の競争主義の時代は、ウェストール氏の優れた文学も宮崎さんの優れたアニメーションもエンターテイメントの領域から他者の痛み(世界の貧しい人や今、戦争で苦しんでいる人々)を自分のこととして捉える感受性を生む領域までは中々昇華できない時代かも知れませんが、

本書を読み、従兄弟・友人・知人の子供達が優れた文学やアニメーションで他者の痛みが分る豊かな感受性を育んで欲しい、そう強く思い至りました。

これは、同人誌です。  (2008-12-18)
この本は、ウェストール作品が、好きで好きで好きで好きでたまらない宮崎駿監督が、
天下の岩波を巻き込んで作った。豪華同人誌です。
作品の内容については、先の皆様のレビューにもあるように、文句なしの内容です。
それに、天下の宮崎監督の、思い入れたっぷりの解説がついて、豪華すぎる本になっています…が…。
あまりにも、監督の思い入れが強すぎて(だから、同人誌と言ったのですが)、先入観と言うか、真っ白な気持ちで読めないと言うか…。この本の作りでは、解説読む前に、小説を読むのは無理ですし。
緻密(過ぎる)な戦闘機の解説画のお陰で、機内の状況などは想像しやすかったですが、この小説は、質素な装丁と挿絵でこそ、内容が光ったのでは?。などと、えらそうな事を考えてしまいました。

英国の児童文学  (2007-12-28)
何年も前に初めて「ブラッカムの爆撃機」を図書館の児童文学のコーナーで見つけたときはてっきり職員がおき間違えたのではと思ったほどその完成度の高さに驚愕した。どこかのパブでの問わず語りではじまる冒頭からぐいぐい物語りに引き込まれてしまう。本当はエンジン音で声さえ聞き取れないほどであろうに静寂感さえただよう機内、夜間戦闘機と死闘、夜間爆撃の濃密な描写などを通じて読者はいつしか物語の世界へ導かれ主人公と同化していく。これはもう上質な大人のミステリーである。
本書は宮崎駿氏の尽力による単なる復刻にとどまらず氏の書き下ろしや作画、ウエストールの生涯の解説などを加えたスペシャル版となっている(中でも氏の作画によるC号機の図解は必見)。私はつくづくこのようなすばらしい作品を読める英国の子供たちがうらやましいと思う。

戦争のリアルな空気感を伝える、異色の児童文学。  (2007-04-06)
 『ブラッカムの爆撃機』は、驚いたことに児童文学である。ドイツ本土を空爆する任務を帯びた、主人公(航空無線士のゲアリー)たち英国空軍の爆撃機の機長と搭乗員が遭遇する不思議な事件を中心に、彼ら若き兵士達の日常を生々しく描いている。従軍経験を元にした戦記や小説はたくさんあるが、「兵士達の戦場体験」というテーマを青少年を対象として書かれた作品が存在したとは夢にも思わなかった。しかも、爆撃機内の描写はさりげないが、非常に精密である。作者が自らの体験を書いているのかと思えるくらい、リアルである。児童文学ながら、戦争の悲惨さをことさら声高に訴えないところも良い。過酷な爆撃任務の中でもジョークを忘れない兵士達の、精神の微妙な起伏を描き切ることで、彼らが直面し、避けることのできない「死が日常的な存在である」戦争の空気を見事に伝えている。

 緊張感あふれる文体、青少年対象としながら(実際、文章は平易である!)、現実から目をそむけないウェストール氏の姿勢には心底、感嘆させられた。こんな児童文学が誕生する英国が相手では、ドイツが戦争に勝てなかったのも当然だと思う。

 意外な展開と感動的なクライマックスに、不覚にも落涙してしまった。文句なしに、傑作である。

最初と最後の宮崎駿マンガの危うさ。  (2007-03-13)
宮崎駿がウェストールに傾倒しているのはよく分かる。
しかし、マンガの中でウェストールに言わせている
「少年の忠誠心を否定してはいけません」
という台詞は、どこから持ってきたものなのだろうか。
小説を読めば分かるように、ウェストールは、
あくまで複眼的な視点を常に保っているはずである。
彼の小説を、単なる戦争オタク的なものに摩り替えてはいけない。
宮崎駿のマンガを読むことで、一種のフィルターを通した
「ブラッカム・・・」を読むことになるのだとしたら、
これは大変不幸なことである。

ちなみに、ウェストールのこの作品自体は
大変印象深い、よく出来たものであることを、付け加えておきたい。